残業代のルール
残業代のルール(労働基準法)
どんな時間が残業になり、何%の割増が必要なのか。残業代の計算の前提となる労働基準法のルールを整理しました。
法定労働時間と「残業」の種類
労働基準法第32条は、休憩時間を除いて1日8時間・1週40時間を法定労働時間と定めています(常時10人未満の商業・映画演劇業・保健衛生業・接客娯楽業は週44時間の特例あり)。この時間を超える労働が「時間外労働」で、割増賃金の対象になります。
一方、会社が定めた所定労働時間(例えば1日7時間)を超えても、8時間以内であれば「法定内残業」です。法定内残業には法律上の割増は不要ですが、働いた分の通常の賃金は支払われなければなりません。
- 法定労働時間
- 1日8時間・1週40時間
- 時間外労働の上限(原則)
- 月45時間・年360時間
- 時間外労働の割増率
- 25%以上(月60時間超は50%以上)
- 未払い賃金の時効
- 3年(2020年4月以降の賃金)
割増賃金率の一覧
労働基準法第37条と「割増賃金令」で定められた、残業代の割増率の最低基準です。就業規則などでこれを上回る率が定められていれば、その率が適用されます。
| 種類 | 条件 | 割増率 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 法定内残業 | 所定労働時間を超え、1日8時間・週40時間以内 | 割増なし(1.00倍) | 就業規則で割増を定めている場合はそれに従う |
| 時間外労働 | 1日8時間・週40時間を超えた労働 | 25%以上(1.25倍) | 36協定の締結・届出が必要 |
| 時間外労働(月60時間超) | 1か月の時間外労働が60時間を超えた部分 | 50%以上(1.50倍) | 2023年4月から中小企業にも適用 |
| 深夜労働 | 22時〜翌5時の労働 | 25%以上(0.25倍を加算) | 管理監督者にも支払いが必要 |
| 法定休日労働 | 週1日(または4週4日)の法定休日の労働 | 35%以上(1.35倍) | 休日労働には時間外割増は重ならない |
| 時間外 + 深夜 | 時間外労働が22時〜翌5時に及んだ場合 | 50%以上(1.50倍) | 25% + 25% |
| 60時間超 + 深夜 | 月60時間超の時間外労働が深夜に及んだ場合 | 75%以上(1.75倍) | 50% + 25% |
| 休日 + 深夜 | 法定休日の労働が深夜に及んだ場合 | 60%以上(1.60倍) | 35% + 25% |
月60時間を超える時間外労働の50%の割増は、大企業では2010年から、中小企業では2023年4月1日から適用されています。労使協定を結べば、60時間超の割増率の引き上げ分(25%分)の支払いに代えて有給の「代替休暇」を与えることもできます。
36協定と時間外労働の上限規制
会社が法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりするには、労働者の過半数代表などと「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定を結んでも、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限です。臨時的な特別の事情があって特別条項を設ける場合でも、次の上限を超えることはできません。
- 時間外労働は年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計は、2〜6か月のいずれの平均も80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月まで
残業代の計算から除外できる手当
1時間あたりの賃金を計算するとき、次の7種類の賃金は算定基礎から除外できます(労働基準法第37条第5項・施行規則第21条)。名称ではなく実態で判断され、例えば全員に一律で支給される住宅手当や家族手当は除外できません。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
管理監督者と「名ばかり管理職」
労働基準法第41条の「管理監督者」には、労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、時間外労働と休日労働の割増賃金は不要です。ただし、深夜労働の割増賃金は管理監督者にも支払わなければなりません。管理監督者に当たるかどうかは、経営者と一体的な立場で重要な職務と権限を持っているか、出退勤を自分で決められるか、地位にふさわしい待遇を受けているかといった実態で判断され、肩書きだけでは決まりません。
固定残業代が認められる条件
固定残業代(みなし残業代)は、通常の賃金部分と残業代部分が明確に区分され、時間外労働の対価として支払われている場合に限って有効とされます。求人や雇用契約では、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代に含まれる時間数と金額、超過した時間は追加で支払うことを明示する必要があります。計算方法は固定残業代計算ツールで確認できます。
変形労働時間制・フレックスタイム制
1か月単位・1年単位の変形労働時間制やフレックスタイム制では、一定期間の平均で週40時間以内に収まれば、特定の日や週に8時間・40時間を超えて働いても直ちに時間外労働にはなりません。ただし、期間の総枠や事前に定めた所定時間を超えた分には割増賃金が必要です。詳しくは変形労働時間制の残業代計算ツールをご覧ください。
未払い残業代の時効
2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金の請求権の消滅時効は、当面の間3年です(法律上の原則は5年)。未払いの残業代がある場合は、タイムカードや勤怠システムの記録、業務用メールやPCのログ、給与明細、就業規則・雇用契約書などを保存しておくと、残業時間と金額を証明しやすくなります。
相談窓口
残業代の未払いや長時間労働については、全国の労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーで無料で相談できます。個別の請求や交渉については、社会保険労務士や弁護士に相談するのも一つの方法です。
このページは一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。法令は改正されることがあり、業種・雇用契約・就業規則によって扱いが異なる場合があります。個別の判断は、労働基準監督署や専門家にご確認ください。
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